ステム 音楽 とは? 配信者と制作者の答え

要約

ステム 音楽 とは、グループごとにまとめて焼き込んだ サブミックス のこと。ドラム、ベース、ボーカル、シンセをそれぞれ1本のファイルにする。マルチトラック(個別素材)とステレオ・ファイル(完成品)の中間にある。配信ではボーカル・ステムを落として喋りかぶせに使い、マスタリングやリミックスにも回せる。書き出しは同じ長さ、エフェクトはステムごと、マスターのコンプは含めない。

色分けされたトラックグループを表すミキサーとDAWのある制作デスク

ステム 音楽 とは、関連するトラックをまとめて一つのオーディオファイルに書き出した サブミックス のことだ。ドラム、ベース、ボーカル、シンセ。すべてのステムを同じレベルで鳴らせば、元のミックスがそのまま戻ってくる。セッションの個別トラックと、最終的なステレオ・ファイルの間にある中間の素材だ。

それ以外は細部だ。ただ、その細部でプロデューサーと配信者は時間を失う。

ステムはトラックではなくグループだ

40トラックあるテクノのセッションを想像してほしい。キック、クラップ、ハイハットが3つ、パーカッションのループが2つ、サブベース、ミッドベース、シンセのレイヤーが4つ、ボーカル・チョップ、FX。これをドラム、ベース、シンセ、ボーカル、FXのグループに振り分ける。各グループを1本のステレオ・ファイルにバウンスする。5ファイル。5ステムだ。

各ステムには、そのグループのすべてが含まれる。レベル、パンニング、EQ、コンプ、リバーブのセンド、オートメーション。すでにミックスされた状態だ。動かすこと、ミュートすること、レベルを少し上げ下げすることはできる。ただ、中に手を入れてハイハットだけ直すことはできない。

そこがトレードオフの核心だ。ステムは受け渡しやすい。その代わり、焼き込まれている。

色分けされた4つのオーディオ・グループがスタジオのデスクに並ぶ様子

ステム、マルチトラック、ステレオ・ミックスの違い

3つの形式。役割が違う。

配り方の基準は、ソースどうしでほぼ一致している。ミックスエンジニアにはマルチトラック。リミキサー、ボーカリスト、マスタリング・エンジニアにはステム。誰にも触らせないなら、ステレオ・ファイル。誰かに「トラックちょうだい」と言われたら、どれのことかを必ず聞き返す。人はこの言葉を曖昧に使う。読み違えると午後がまるごと消える。

Production Expert によるステムの解説も同じ点を指摘している。ステムとマルチトラックを混同すると、数個のWAVを想定していたのに、巨大なセッションと足りないプラグインに直面することになる。

ステムを使う理由。ライブ演奏がいちばん効く

理由は4つ。それ以上はない。

  1. 余裕を持ったマスタリング。 ステムから作業するマスタリング・エンジニアは、あなたのセッションに戻らせることなく、ボーカルを1dB持ち上げたり、シンセを抑えたりできる。ステム・マスタリングは通常4〜8本のステムを指す。

  2. リミックス。 リミキサーが欲しいのは、あなたのボーカルとドラムであって、40トラックのセッションではない。

  3. インストと別バージョン。 ボーカル・ステムをミュートして書き出す。2分で終わる。

  4. パフォーマンス。 配信にとって重要なのは、この部分だ。

テストはこれだ。ライブで演奏できるか? ステムがあれば、答えはイエスになる。4ステムの曲なら、ドラムを落とし、ベースを保持し、別の曲の上からボーカルを重ねられる。ステム対応のDJソフトは、曲をドラム、ベース、メロディ、ボーカルに分けて、別々のフェーダーで混ぜられるようにする。OBSで配信する場合も同じ考え方だ。ボーカル・ステムを消せば、チャットがトラックの上から喋れる。インストは流し続ける。曲の権利がクリアされている限り、それで配信はきれいに保てる。

ライブでステムをミックスするために設定されたDJコントローラー

具体的な数字もある。4ステムのセットでは、1曲あたり4本のステレオ・ファイルになる。24bit/44.1kHzのステレオで、1分あたりステム1本はおよそ15MB。4分の曲を4ステムにすると、非圧縮でおよそ240MB。プレイリストだけでなく、ドライブの容量も計画すること。

完成したステレオ・ファイルを順番に流すだけで、重ねることをしないなら、ステムは何も足さない。AからBへのストレートなミックスには不要だ。

割れないステムの書き出し方

ステムのトラブルの大半は、書き出しの問題だ。以下をやる。

DAW上でグループ化したトラックをステムとして書き出す制作者

ほとんどのDAWで手順は同じだ。グループごとにバスへルーティングし、バスを選択して、ステム書き出しかトラック書き出しのオプションを使う。メニューの名前は変わるが、ロジックは変わらない。DAWごとの書き出し手順を見たいなら、RouteNote のガイドが書き出し側を丁寧に解説している。

経験則はこれだ。マルチトラックはドライで書き出す。ステムはウェットで書き出す。

ステムは何本にする?曲に合う構成を選ぶ

標準は存在しない。曲をどう使うかに合わせて分け方を選ぶ。

テクノなら、キックとベースの関係が曲そのものだ。受け取る側が低域を触るなら、キックは独立したステムに残す。ベース・ステムにサイドチェインが焼き込まれているなら、ファイル名かメモに書いておく。受け取る側は感謝する。

ステムが増えればファイルが増え、ディスクも増え、書き出しミスの余地も増える。減らせばコントロールが減る。多くの人は4本から始めるべきだ。

ステレオ・ファイルしかないなら、AIステム分離

セッションが手元にないこともある。買った曲かもしれないし、古いバウンスかもしれないし、生成した曲かもしれない。AIステム分離は完成したステレオ・ファイルを受け取り、ボーカル、ドラム、ベース、その他に分け直す。

動く。ただし魔法ではない。アーティファクトが出る。ハイハットが滲む、ベース・ステムにボーカルの影が残る、リバーブの尾が漏れる。高密度のミックスや、サイドチェインの強いポンピングが最悪のケースだ。

検討する価値のあるツールは以下。

LALAL.AI はブラウザ、デスクトップ・アプリ、そして Pro プランでは VST として動く。無料の Starter で10分使える。計算に注意。分の消費は、選んだステムの種類の数だけ掛け算される。

Moises は分離に加えて、ピッチ、テンポ、コードのツールを一つにまとめている。同じアプリで練習やリハーサルをするなら便利だ。Pro には Stems VST が付く。

そして生成系がある。AI音楽ジェネレーターは、いまやステムを書き出しオプションとして渡してくれる。分離の工程を丸ごと飛ばせる。

Suno は Pro(月額$8)でステム分離を含む。

Udio は Standard(月額$10)と Pro(月額$30)の両方でステムのダウンロードを提供する。ルールはこうだ。曲が生成から始まったなら、ステムは元から取る。後から分離するのは、常に劣化する二次処理だ。

リミックス、ライブ演奏、必要なときにインストが欲しいなら、払う価値がある。クリップ用にボーカルを一瞬抜くだけなら、無料枠で足りる。

配信でステムを使うと実際に何が変わるか

配信者はステムの恩恵を最も受けているのに、語られることは最も少ない。効果が出る場面は3つ。

  1. 喋りかぶせモード。 マイクで配信するとき、ボーカル・ステムを落とす。ベースとドラムが空間を保ち、歌詞があなたの声と戦わなくなる。ファイルをミュートしているだけなので、リアルタイム処理をしておらず、遅延はゼロのままだ。

  2. 切り抜きに安全な編集。 VODやクリップ用に、ボーカル無しのセットを切り出す。歌詞の要素が減り、フラグを立てられにくくなる。

  3. イントロとスティンガー。 開始画面の下で4小節のドラム・ステムをループさせる。ドラムだけだと気づく人はいない。止まったときに気づかれる。

期待外れになるのは、分離をライブで回すことだ。リアルタイムのステム分割には、OBSのシーンがすでに欲しがっているCPUやGPUの余力が必要になる。分離はオフラインで行い、ファイルを読み込んで再生する。一台のマシンにセパレーターとエンコーダーを積んで、うまくいくことを祈るのはやめること。

ステム・パックを台無しにするミスと、「stem」のもう一つの意味

ステム・パックを壊すミスは以下。

検索結果が混ざっているので、ここで補足する。楽譜の世界では、stem(ステム)は音符の符頭に付く縦の線のことだ。オーディオファイルとは何の関係もない。音楽理論の授業からここに来たなら、それは別のページの話だ。ここまでの内容はすべて、オーディオのステムについてのものだ。

送る前、再生する前の経験則

分離する音源のライセンスは必ず確認すること。自分が持っていないトラックを分離しても、それが自分の曲になるわけではない。TwitchもKickも、ボーカルが分離されているかどうかは気にしない。DMCAゼロが通用するのは、使用許可を得た音楽だけだ。

結論はこれだ。ステムは、グループ化され、ミックスされ、焼き込まれたサブミックスだ。きれいな4本を書き出せるようになれば、同じファイル群からマスタリング、リミックス、ライブ演奏まで回せる。

よくある質問

ステムとステレオ・ファイルの違いは?
ステムはグループごとにまとめたトラックで、各グループの処理が焼き込まれている。ステレオ・ファイルは全体を1本にまとめたもので、もう変更できない。
ステムとマルチトラックの違いは?
マルチトラックは個々のトラックで、多くはドライ。ステムはその束をグループにまとめたもので、通常4〜20ファイルになる。
ステムは何本あればいい?
迷ったら4本。ドラム、ベース、メロディ、ボーカル。ほとんどのDJソフトとAI分離ツールがこの構成を使う。
完成した曲からステムを取り出せる?
AIステム分離で取り出せる。ただし分離はアーティファクトを生むので、元の素材から書き出した本物のステムより劣る。
ボーカルを消せば権利の問題は解決する?
解決しない。ボーカルを消しても、その曲を使う権利がなければ問題は残る。使用許可を得た音楽だけが安全だ。
ステムはどの形式で書き出すべき?
24bitで、セッションのサンプルレートに合わせる。全ステムで同じ形式にする。